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【流量計】差圧式流量計の温度圧力補正とは?

制御

流体の流量を正しく把握することは、工場を安定して稼働させるために非常に重要な項目の一つです。

しかし、主に気体などの圧縮性流体と呼ばれる流体は圧力や温度によって体積が変わってきます。

この圧縮性流体の流量を正確に知るために必要となってくるのが温度圧力補正です。

おたち
おたち

水などは体積がほとんど変化しない流体は非圧縮性流体と呼ばれ、

基本的に温度と圧力の補正は不要だよ!

差圧式流量計の温度圧力補正とは?

差圧式流量計の温度圧力補正の式は以下のようになります。

$${}F_1={}F_0×\sqrt{\frac{T+273.15}{{}T_0+273.15}}×\sqrt{\frac{{}P_0+0.1013}{P+0.1013}}$$

F1:補正後の流量 [m3/h]
F0:補正前の流量 [m3/h]
T:流量計の設計温度 [℃]
T0:実際の温度(計測温度) [℃]
P0:実際の圧力(計測圧力) [MPa]
P:流量計の設計圧力 [MPa]

基本的に差圧式流量計は設計温度と設計圧力を定めて設計されており、そこから変化がない場合には温度圧力補正は不要となります。

しかし、現実には温度や圧力が一定ということはなく、都度都度値が変化していき流量計の計測値に誤差が生じてしまいます。

これを補正するために温度と圧力の補正を行う必要があるのです。

後述しますが、差圧式流量計以外の場合は演算式が少し異なるので注意してください。

おたち
おたち

取引計器など、正確に流量を知る必要がある個所では非常に重要な処理だよ!

 

温度圧力補正の計装系統

温度圧力補正の計装系統のイメージは以下のような感じとなります。

流量計、温度計、圧力計のそれぞれの計器の指示値を補正演算で処理して補正後の流量として出力します。

補正演算はDCS等で行われるのが一般的かと思います。

また、計装記号に関する記事を以下で描いているので参考にしてみてください。

【計装機器】計装記号とは?代表的な記号の読み方を実例を踏まえて解説!
計装記号とは工場で図面を見ているとPI-001やTIC-101などといった文字記号を見ることが多くあると思います。これは計装記号というもので、計装機器の機能を簡単に示す記号になり一般的に2~3文字程度...

 

密度が変化する場合の補正

基本的には温度と圧力のみの補正で十分なことが多いですが、流体の条件によっては密度も変化する場合もあります。

これも含めた補正演算は以下のようになります。

$${}F_1={}F_0×\sqrt{\frac{T+273.15}{{}T_0+273.15}}×\sqrt{\frac{{}P_0+0.1013}{P+0.1013}}×\sqrt{\frac{ρ}{{}ρ_0}}$$

F1:補正後の流量 [m3/h]
F0:補正前の流量 [m3/h]
T:流量計の設計温度 [℃]
T0:実際の温度(計測温度) [℃]
P0:実際の圧力(計測圧力) [MPa]
P:流量計の設計圧力 [MPa]
ρ:流量計の設計密度 [kg/m3]
ρ0:実際の密度 [kg/m3]

 

差圧式流量計以外の流量計の場合

差圧式流量計以外の流量計(電磁式流量計や渦流量計)の場合は補正演算の式のルートがない状態で補正演算を行います。

おたち
おたち

差圧式流量計は差圧から流量に変換する際に開平処理を行っているからルートがつくんだね!

開平演算に関しては以下記事で説明していますので、併せて読んでみてください。

【計装機器】差圧流量計とは?測定原理と開平演算について解説!
今回は流量計の種類の一種である差圧式流量計の測定原理に加えて、差圧から流量信号に変換するための開平処理について説明していきたいと思います。差圧流量計とは差圧式流量計はオリフィス流量計とも呼ばれる流量計...

 

まとめ

今回は差圧式流量計およびその他の流量計の温度と圧力の補正に関してまとめてみました。

正確な流量を知る必要がある際は補正をきちんと行って正しく把握しましょう。

 

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