「PFDは描けた。でも次が分からない」

PFDは一通り描け、装置の流れも分かります。
……でも、このあとP&IDってどう描けばいいんだろうか?

それはみんな最初にぶつかる壁だね。
PFDとP&IDは“似ている図面”じゃなくて、“役割が違う図面”なんだ!
化学工場やプラント設計の現場では、
PFD(Process Flow Diagram)→ P&ID(Piping & Instrumentation Diagram)
という流れで設計が進みます。
しかし実務では、
- PFDは読める
- P&IDも何となく分かる
- でもP&IDを一から作成するやり方は教わっていない
という人が非常に多いのが実情です。
この記事では、生産技術・計装設計の実務で使われている
PFDからP&IDを作る思考プロセスを解説します。

① P&IDを描く前に、PFDを“読み切る”

P&IDを書き始める前に、しっかりとPFDについて理解する必要があるよ!
PFDで必ず確認すべきポイント
- 原料・製品・副生成物の流れ
- 装置の役割(反応・分離・加熱・冷却など)
- 代表的な運転条件(温度・圧力・流量)
- 操業上のキーポイント
ここで重要なのは、
PFDは「設計の前提条件そのもの」という意識を持つことです。
PFDで曖昧な部分があるままP&IDに進むと、後工程ですべて手戻りしてしまいます。
② 主要機器をP&IDに配置する(骨格作り)
次に行うのが、P&IDのベース作りです。

まずは主要機器を並べていこう!これがP&IDの背骨になるよ!
この段階でやること
- PFDに出てくる装置をすべて配置
- プロセスの流れ順はPFDと一致させる
- まだ詳細は描かない
この時点では、
- 配管サイズ
- バルブ種類
- 計装機器
は 考えなくてOK です。
まずは「流れが一目で分かるか」を重視します。

この段階ではPFDと同じ感じだけど最終的な見易さを意識して機器配置を行う必要があるよ!
③ すべての配管を描く(PFDとの決定的な違い)

ここから本格的にP&IDにしていくよ!
PFDでは、
- 代表的なラインのみ
- 省略された配管が多数
ですが、P&IDでは違います。実際に敷設する配管すべてを記載する必要があります。
P&IDで追加する配管の代表例
PFDには記載されずにP&IDで追加される配管としては以下のような配管があります。
- ドレン配管
- ベント配管
- サンプリングライン
- 洗浄・パージ配管
- バイパス配管

「運転・停止・異常・保全」の各場面を想像しながら考えると必要な配管が自然に見えてくるよ!
④ バルブを配置する(運転操作を具体化)
配管を描いたら、次はバルブです。

バルブはPFDには全然出てこない項目だね!
バルブ配置の考え方
バルブを入れる場所を考えるためには以下の点を考慮するとよいです。
- 起動時にどこを開けるか
- 停止時にどこを閉めるか
- トラブル時にどこを遮断するか
この視点で、
- 手動弁
- 自動弁
- 逆止弁
- 緊急遮断弁
を配置していきます。この際操作に適したバルブ種類を選ぶ必要があります。

実際に人が操作するイメージを想像しながらバルブを考えよう!
⑤ 計装機器・制御ループを追加する
ここでようやく計装の登場です。

制御もPFDで省略されていた項目だからしっかりぬけがないように記載しよう!
P&IDに追加する主な計装
P&IDに記載される主な計器としては以下があります。
- 圧力計(PG・PT)
- 流量計(FG・FT)
- 液位計(LG・LT)
- 温度計(TG・TE)
- 制御弁(CV)
- PID制御ループ
考え方の基本
それぞれの計器を入れるポイントは以下の通りです。
- 制御しないと危険な変数は何か
- 品質に直結するパラメータは何か
- 操業が不安定になりやすい箇所はどこか

「なぜこの計器が必要か」をきちんと説明できることは良いP&IDができている証拠だよ!
⑥ 安全装置・異常時対策を明確にする
必ず検討すべき項目
- 安全弁・破裂板
- 非常遮断弁
- インターロック
- フェイルセーフ動作
ここが抜けているP&IDは、「動くけど危険な設備」になってしまいます。

P&IDは設計者の安全に対する考え方が表れる図面だね!
⑦ 生産技術目線で最終チェック
最後は、自分に以下の問いをして本当にP&IDとして問題ないかを確認しましょう。
- この図面だけで運転できるか?
- 異常時に操作すべき場所が分かるか?
- 保全作業時の隔離ポイントは明確か?

P&IDは設計者から現場の運転員まで様々な人が見ます。
いろんな観点で考えることを意識しよう!
まとめ:PFDからP&IDは「単なる詳細化」ではない
PFDからP&IDを作る作業は、
単なる“情報の追加”ではありません。
- プロセスを理解し
- 操業を想像し
- 安全を考え
- 現場で使える形に落とす
思考の積み重ねそのものです。
PFDは「考えるための図」、P&IDは「動かすための図」
この違いを意識するだけで、図面の見え方は大きく変わります。
みなさんもP&IDを考える際は上記の点を意識してみてください。

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