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[高圧ガス 甲種機械]腐食とは?種類と特徴まとめ

高圧ガス

金属材料は化学的にも物理的にも時がたつにつれて劣化してしまいます。

その中でも特に化学的劣化の一種である腐食(corrosion)にはいろいろの形態があります。最も多いものは厚さが減少するタイプの腐食であり、均一に失われていく場合もあれば、局所的に進行し穴あきに至る場合もあります。

そのため、本記事では腐食にスポットを当てて種類や特徴について解説していきたいと思います。

 

湿食とは?

まず、湿食とは水の存在下で生じる腐食のことです。
反対に水を必要としない腐食のことは乾食といいます。

乾食は一般に高温で進行する腐食ですが、湿食は温度が高くなくても生じてしまいます。
これは電気化学的な作用(電池作用)が働くためです。

つまり、湿食は金属がイオンとなって電解質溶液(水)に溶け出していくことで進行する腐食になります。

湿食の種類と特徴について

均一腐食

腐食環境にさらされている全表面がほとんど均一に腐食することを均一腐食と呼びます。

炭素鋼が酸に溶ける場合や、大気中で腐食する場合がこれに当たります。

 

異種金属接触腐食

2種類の金属、合金を接触させたとき、腐食電位列よりプラス側(貴)を+極(カソード)、マイナス側(卑)を-極(アノード)とした電池が形成されます。

そのため、-極になった金属はイオンとなって溶け出し腐食が促進されます。

これを異種金属接触腐食といいます。

炭素鋼の場合には多くの環境下でマグネシウムや亜鉛は-極、ステンレスや銅、チタンなどの金属は+極になります。

また、腐食速度は-極に対する+極の面積比が大きいほど速くなります。

通気差腐食

炭素鋼や鋼では、部分的に溶存酸素濃度に差異が生じた場合、酸素濃度が低い部分を-極、周囲の溶存酸素の供給がよい部分を+極とするマクロ腐食電池が形成され、-極部分が腐食されます。

この腐食を通気差腐食といいます。

孔食

局部的に深い孔状の浸食が生じる腐食を孔食といいます。

炭素鋼の孔食の原因は前述した通気差腐食である場合が多く、ステンレス鋼の孔食は比較的高濃度の塩化物イオンを含む環境で起こりやすいです。

また、ステンレス鋼と同様の腐食はアルミニウムおよびアルミニウム合金にも生じます。

すき間腐食

塩化物環境にあるステンレス鋼やアルミニウムおよびアルミニウム合金のように不動態皮膜を持つ金属が、面接触していたり、異物が付着していたりする場合、接触面や付着物の下に形成される狭いすき間部に孔状やそれ以外の形状の浸食を受けます。

これをすき間腐食といいます。

粒界腐食

粒界腐食は金属や合金の結晶粒界近傍が選択的に腐食する現象で、不適当なステンレス鋼に生じる事例が多い腐食です。

通常のステンレス鋼には0.05~0.07%の炭素が含まれていますが、ある温度・時間で加熱されると結晶粒界近傍で炭素がクロムと反応して炭化クロムが結晶粒界に析出します。その結果、結晶粒界近傍は皮膜形成に有効なクロムの含有量が必要濃度以下に低下し耐食性を失ってしまいます。

この現象を「鋭敏化」と呼び、鋭敏化したステンレス鋼は表面の結晶粒界部が-極、その他の表面が+極となり、結晶粒界に沿って腐食します。

応力腐食割れ

引っ張り応力を受けている金属や合金が、その応力が引っ張り強さ以下であっても、ある種の環境中で時間の経過後に割れる現象を応力腐食割れといいます。

この機構は2つの種類があり、1つは引っ張り応力下で金属内部のある経路に限定された面に腐食が進行し、その面が2つに分かれることによって生じます。

このタイプの割れを生じる場合は塩化物環境下でSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼に生じることが多いです。一方でフェライト系ステンレス鋼では応力腐食割れは起こりにくいです。

またもう1つの機構として腐食によって生じた水素が金属や合金の内部に侵入することで、引っ張り応力下で脆化を生じて割れが生じます。

このタイプは高張力鋼やマルテンサイト系ステンレス鋼のように特定の強度の高い材料のみに起こり、引っ張り強さが高いほど割れ感受性が大きくなります。

高圧ガス腐食(乾食)とは?

高温のガス環境下で金属が環境と反応することによっておこる損傷のことを高圧ガス腐食(乾食)といいます。

高圧ガス腐食には高圧ガスが金属と反応して生じる腐食のほかに、高圧ガスによる材質的な劣化および高圧ガスによって生じる付着物による腐食が含まれます。

 

乾食の種類と特徴

酸化

金属の酸化は高温において空気、水蒸気、二酸化炭素などによっておきます。一般的に炭素鋼では500~550℃以上で酸化されやすくなります。

ハロゲンガス腐食

高温の塩素ガス、塩化水素ガスなどのハロゲンガスの腐食性は強いため、炭化水素の塩素化、塩化ビニル合成などの化学装置環境で、多くの金属を激しく腐食させます。

硫化

炭素鋼やニッケルは硫化水素を含む高温ガスによって硫化物を生成して腐食します。

窒化

高温の窒素ガスに接する金属に窒素が侵入して窒化物を生成することで金属がもろくなる現象を窒化といいます。

耐窒化性に優れた材料としてオーステナイト系ステンレス鋼があります。これはNiを含んでいるためで、Niが多いほど耐窒化性は良好です。

 

 

 

 

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