プラント設計や設備検討の場面で、必ず登場するのがPFD(プロセスフロー図)とP&ID(配管計装図)です。
どちらも「プロセスを表す図面」ですが、役割・見る人・使われるタイミングは大きく異なります。
本記事では、
- PFDとP&IDの役割
- それぞれに何が描かれているのか
- なぜ両方が必要なのか
- 設計・運転・保全での使われ方
を、詳しく解説します。
そもそもPFDとP&IDとは?
まずは、それぞれの定義を整理します。
PFD(Process Flow Diagram)とは
PFDは、プラント全体のプロセスの流れを把握するための図面です。
- 原料がどこから入り
- どの装置を通り
- どのように製品になるのか
を、大きな流れとして表現します。
P&ID(Piping & Instrumentation Diagram)とは
P&IDは、配管・バルブ・計装機器・制御内容まで含めた詳細図面です。
- どの配管に
- どんなバルブや計器が付き
- どのように制御・保護されているか
を、実際の設備構成に近い形で表現します。
PFDの役割と特徴
① プロセス全体を「俯瞰」するための図面
PFDの最大の役割は、プラントの全体像を一目で理解できることです。
- 装置構成
- 主な物流の流れ
- エネルギーの流れ
が、シンプルに整理されています。
② マスバランス・ヒートバランスの基礎
PFDには、「流量」、「温度」、「圧力」、「組成」などの代表値が記載されます。
これにより、
- 物質収支(マスバランス)
- 熱収支(ヒートバランス)
の検討が可能になります。
③ 基本設計・検討用の資料
PFDは、「基本設計」、「プロセス検討」、「客先説明」、「社内レビュー」などで使われる、構想レベルの図面です。
「プロセスとして成立しているか」を確認するための図と言えます。
④ PFDに描かれないもの
PFDでは、以下は基本的に省略されます。
- バルブの種類や個数
- 計器の詳細
- 配管径・配管番号
- 制御ロジック
つまり、“どう制御するか”や“どう作るか”は描かないのがPFDです。
P&IDの役割と特徴
① 実設備に直結する図面
P&IDは、
- 配管設計
- 計装設計
- 制御設計
- 工事・施工
の基準図面になります。
P&IDなしでは、プラントは作れません。
② 計装・制御内容を明確にする
P&IDには、
- 圧力計・流量計・温度計
- 制御弁
- インターロック
- アラーム
など、計装情報が詳細に記載されます。
DCS・PLC設計の元になる最重要資料です。
③ 安全設計の中心
P&IDは、
- 安全弁
- 遮断弁
- 非常停止
- フェールセーフ
など、安全思想を具体化する図面でもあります。
HAZOPやリスクアセスメントも、P&IDを使って実施されます。
④ 運転・保全で最も使われる図面
現場では、
- トラブル時の流路確認
- バルブ操作確認
- 計器位置の把握
- 改造検討
など、P&IDが最も参照されます。
「現場の地図」と言っても過言ではありません。
PFDとP&IDの違いを比較
| 項目 | PFD | P&ID |
|---|---|---|
| 目的 | プロセス全体把握 | 設備・制御の詳細 |
| 設計段階 | 基本設計 | 詳細設計 |
| 記載内容 | 主流量・装置 | 配管・計装・制御 |
| バルブ | 省略 | すべて記載 |
| 計器 | 最小限 | 詳細に記載 |
| 主な利用者 | プロセス設計 | 計装・配管・運転 |
なぜPFDとP&IDの両方が必要なのか?
もしPFDだけだと、
- 制御が検討できない
- 安全設計が不十分
- 工事ができない
逆にP&IDだけだと、
- プロセス全体が見えない
- 目的が分からない
- 設計思想が伝わらない
つまりPFD=考え方の図、P&ID=実現するための図
という役割分担があります。
計装・生産技術担当者が見るべきポイント
PFDで見るべき点
- プロセスの単純さ
- 無駄な循環がないか
- 将来増設の余地
P&IDで見るべき点
- 計器の設置意図
- 手動/自動の切り分け
- 保全しやすい構成か
- 異常時の安全性
よくあるトラブル例
- PFDとP&IDで流れが一致していない
- PFD変更がP&IDに反映されていない
- 設計者の意図が図面に残っていない
👉 図面の整合性管理が非常に重要です。

よく改造した箇所がP&IDやPFDに反映されてないことなどがあるので、これらの資料は常に最新に保つように心がけよう!
まとめ
PFDとP&IDは、
- PFD:プロセスの全体像を示す
- P&ID:設備・制御・安全を具体化する
という、役割の異なる必須図面です。
どちらか一方では不十分で、両者が揃って初めて「良いプラント設計」になります。
計装・生産技術・保全に携わる方は、
ぜひ「描かれている理由」を意識しながら図面を読むようにしてみてください。


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