
工場で一瞬停電になったとき、ポンプも同時に止まってしまった。
人によっては上記のような場面に遭遇したことがあると思います。
電気が一瞬だけ途切れる現象を「瞬停」といいます。
瞬停は時間でいえば1秒以内(長くても数秒)程度のものですぐに安定しますが、工場で働いていると瞬停は意外と厄介な現象です。
通常のモーター回路は電気の通電が一瞬なくなるだけで止まってしまう構成のものが多く、生産に影響が出てしまいます。
その対策に用いられているものが瞬停タイマーです。
瞬停タイマーとは?
瞬停タイマーは通常のオフディレイタイマーにコンデンサーを組み合わせたようなタイマーになります。
通常運転中に充電されたコンデンサーから瞬停時に電気を供給することでタイマーの設定時間中は、出力信号をON状態で保持し続けます。
つまり、このON状態時間を数秒間に設定しておくと、瞬停しても出力信号が落ちることなくモーターの運転を続けることができるというわけです。

通常のタイマーと異なり瞬停タイマーは通常の停止ボタンを押した際は出力信号がすぐにOFFになるのが特徴だね
基本的なモーター起動タイマー例と瞬停時の動作

でも、どうしてで瞬停になったらモーターが止まってしまうのだろう?
瞬停タイマーの回路例を見る前に一般的な回路だとどうしてモーターが止まるのかを見てみましょう。
以下が一般的なモーター回路の一例です。
起動ボタンを押すことでモーターのマグネットスイッチ(MC01)がONになりモーターが起動します。
また、それと同時にマグネットスイッチのa接点が自己保持回路となり、起動ボタンを離した後もマグネットスイッチをONし続けます。
しかし、瞬停が起きるということは電気の供給がなくなるのでMC01がOFFになり、自己保持も解除されてしまいます。

瞬停が起きた際はイメージ的には停止ボタンを押したのと同じような状況だよ!
そのため、瞬停から復帰した後も再度起動ボタンを押すまではマグネットスイッチはONにならず、モーターを起動することができません。
瞬停タイマー回路例と瞬停時の動作
次に瞬停タイマーを使用した場合について考えてみましょう。
瞬停タイマーの配線はメーカーの製品によって異なりますが基本的には自己保持回路と並列に入れる形になります。(※詳細の配線はメーカーカタログを参照ください。)
これにより先ほど説明した通り瞬停が自己保持を解除しても、瞬停タイマーの出力接点がONしたままになるので、設定時間内に電源が復帰すれば再度自己保持されて動作を継続することができます。
まとめ
今回は瞬停タイマーの役割と実際の回路例について解説してみました。
瞬停タイマーについては以下の通りです。
- 瞬停タイマーは瞬停時設定時間の間出力接点を保持することのできるタイマー
- 瞬停タイマーの基本的構造はオフディレイタイマーとコンデンサ回路の組み合わせ構造
実際の工場では瞬停時に止まるべき機器と止まらず運転を継続させるべき機器とがあります。
機器の使い方によって瞬停タイマーを上手く活用してみてください。
コメント