化学プラントなどの配管設計やメンテナンスに携わっていると、「チューブ」と「パイプ」という言葉に日常的に出会います。見た目は似ていますが、この2つには明確な違いと使い分けの基準があります。
この記事では、現場で迷いがちな「チューブとパイプの違い」について、寸法・接続方式・用途などの観点から解説し、使い分けの実例や注意点も紹介します。
チューブとパイプの基本的な違い
チューブとパイプの主な違いは以下の表のようになっています。
項目 | チューブ | パイプ |
---|---|---|
寸法表記 | 外径ベース | 内径ベース |
寸法単位 | ミリやインチ | 主にインチ(呼び径) |
精度 | 高精度 | 比較的ラフ |
材質 | ステンレス、銅 | 鋼管、ステンレス |
接続方法 | 圧縮リング継手 | フランジ、溶接、ねじ込み |
用途 | 計装、分析、細径 | プロセス配管、輸送ライン |
寸法表記の違いについて
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チューブは外径基準:
例)1/2インチチューブ → 外径が12.7mm、肉厚によって内径は異なる -
パイプは内径基準:
例)1/2インチパイプ → 内径が約15A(15mm)、実際の外径は21.7mm程度
この違いがあるため、1/2インチのチューブとパイプは全く互換性がない点に注意が必要です。
用途の違い
◆ チューブの用途
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計装配管(差圧ライン、圧力測定ラインなど)
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分析機器まわりの配管
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ガスライン、小流量の液送ライン
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高精度を求める場合(気密性、耐食性)
→ Swagelok等の圧縮継手との相性が良く、メンテナンス性に優れる
◆ パイプの用途
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大流量の液体・気体の輸送
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プロセスライン(反応器、塔槽類、熱交換器間)
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配管材料としての構造強度が必要な場合
→ 高圧・高温への対応が可能で、施工は溶接やフランジ接続で行う
接続方法の違い
● チューブ接続:圧縮継手
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工具で締め込むことで簡単かつ確実に接続
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再利用性が高く、メンテナンスがしやすい
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一方、誤締め込みによる漏れや締め過ぎでの破損には注意
● パイプ接続:溶接、ねじ込み、フランジ
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配管長が長いプロセスラインに多用
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高圧・高温・腐食性流体にも強い
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一度施工すると基本的に取り外しができないため、設計段階での十分な検討が重要
材質の違い
材質 | 主な用途 | チューブ/パイプでのどちらで使用されるか |
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ステンレス鋼(SUS304,316など) | 腐食性の強い化学薬品ライン | 両方 |
銅 | 冷媒、空調、分析機器 | 主にチューブ |
PVC・PEなどの樹脂管 | 廃液、排気ライン | 両方 |
炭素鋼(SGPなど) | 水・空気等ガス配管 | 主にパイプ |

チューブは銅管やSUSの材質が多い印象だね!
チューブとパイプの使い分けの実例
例1:圧力計の差圧ライン
→ チューブ(1/4″〜1/2″)+圧縮リング継手

小流量+取り回しやすさからチュービングが一般的だよ!
例2:プロセス間の薬液輸送ライン
→ パイプ(20A〜100A)+フランジ溶接

プロセス流体は様々な種類があり流量や圧力が多様な上、遠距離の輸送のため、パイプが適しているね!
まとめ
チューブとパイプは、見た目は似ていても寸法の取り方、接続方法、用途が大きく異なります。
- チューブ:外径基準、高精度、小流量、計装・分析ライン向け
- パイプ:内径基準、高強度、大流量、プロセスライン向け
設計・施工の現場では、両者の特徴を理解して正しく使い分けることが、安全で信頼性の高い設備構築につながります。
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